月野木若菜「夜光貝」を読む

キャリアウーマンとしての日常に詩があることを教えてくれた句集。豊富な食の知識も羨ましい。

 

三伏や軌道外れてゆく会議

だんまりも交渉の術凍返る

四月来る面接官の席に着き

予定なき夜も予定し十二月

一面の菜の花の黄に噎せにけり

 

新社員鳴らぬ電話を見てをりぬ

鰻食ひ我が重心の定まりぬ

冬至風呂反対意見独り言ち

昨夜十人今夜二人の年忘

薄暑光辞令次々言ひ渡し